食べちゃいたいくらい好き-『かいじゅうたちのいるところ』
最近風呂上りに腹筋とストレッチをしているのだが、相当体が鈍っているのか結構しんどい。そんなしんどさを紛らわすために「スパイク・ジョーンズBest Selection」というDVDを観ながら体を動かしている。しかしこれが滅法面白い。思わず腹筋をやめて画面に見入ってしまう。おかげで私のお腹は締まらない。中でも一番はファットボーイ・スリムのWeapon of Choice。クリストファー・ウォーケンが6歳から習っていたという独特のステップと、体のラインがわからないダボダボのスーツを武器に、ホテルで踊り狂うというもの。何度観ても思わずにやけてしまうとても良いPVだ。DVDをヘビーローテーションし期待値を高め、『かいじゅうたちのいるところ』を鑑賞したのだが、期待に十分応える傑作でした!また映画館でオイオイ泣いたよー。
子供は破壊が好きである。映画はマックスが家の中で犬を追い掛け回すシーンから始まるのだが、これが何ともリアルなことか。叫び声をあげフォーク片手に犬を追う姿になんだかハラハラしてしまった。かいじゅうたちにとって破壊は生きる術である。破壊をすることでしかコミュニケーションが取れない。「かいじゅう踊り」も走り回り木をへし折り仲間を投げ合う。破壊の限りを尽くすことで仲間と笑いあい仲良くなる。しかし怒り狂ったときもかいじゅうは走り回り木をへし折るという同様の破壊をする。なんと複雑な生き物か。
家族の人間関係に嫌気がさしたマックスは、家を飛び出しかいじゅうたちのいる島に辿り着く。マックスとかいじゅうたちはすぐに仲良くなる。子供の破壊とかいじゅうの破壊が見事に共鳴しすぐに打ち解けたのである。しかしかいじゅうたちも人間関係のように複雑で、破壊だけではうまくいかなくなる。マックスは複雑なかいじゅうたちと接することにより、自分と他人の関係性を学んでいく。他人のすべてを理解するのは無理であるが、その複雑さは理解して過ごしていかなければならない。この映画はマックスの成長記録なのである。ラストの少し大人に近付いたマックスの姿は感慨深い。
家を飛び出し、旅をし、成長して家に帰るというシンプルなストーリーですが、十分に心打つ傑作です。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2010/11/03
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