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僕はDay Dream Believer

モロモロの日々

元旦の吉祥寺-『ライブテープ』

松江哲明監督の新作『ライブテープ』を観てきた。2009年元旦。ミュージシャン前野健太がギター片手に歌いながら吉祥寺の街を歩く。これが本編すべて内容である。その姿を松江監督はワンシーンワンカット74分で撮る。

映画は神社から始まる。しばらくは前野健太の歌う姿を観るのだが、いかんせん飽きる。前野健太もその歌も知っているわけではないから辛い。友達が好きな音楽DVDを興味もないのに一緒に観させられる感覚だった。

前野健太に飽きた頃、いつの間にか元旦の吉祥寺の風景に目が行く。これが何とも面白い。最初に驚いたのは初詣参拝者の人数だった。前野健太の歌に足を止めるカップル、邪魔そうに抜いていくおっさん、撮影をじろじろ見る人など、元旦の吉祥寺の風景を見事に切り取っていた。画面の大部分に映っているのは前野なのだが、前野と歌は背景になり、背景のはずの吉祥寺が主役になっていた。

松江哲明監督のドキュメンタリーは、毎回映画の力を感じさせられる。前作『あんにょん由美香』では、女優林由美香を映画の力でスクリーンに生き続けさせることに成功した。今回は元旦にワンシーンワンカット撮影という方法により再び映画の力を生み出した。元旦にゲリラライブ(しかも歩く!) という異様なことをしているのに、前野健太が誰にも止められることなかった。普通はたちの悪い兄ちゃんとかに止められそうなものだ。だがさすがに野外ステージでの演奏は警備員に止められそうになったらしい。そこをなんとか説得し演奏を許してもらい、シーンを繋げた。そしてラストシーンに偶然通りかかった親子、青年。

あの状況下にも関わらずワーンワンカット74分で撮りきることが出来た。そこに映画の力を感じる。

ライブテープ オリジナル・サウンド・トラック

ライブテープ オリジナル・サウンド・トラック