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僕はDay Dream Believer

モロモロの日々

現実が呼んでいる音-『Dr.パルナサスの鏡』

自分は映画を現実から逃げるために観に行っているところがある。映画の世界に入り込み、現実を忘れることができればできるほど、その作品が傑作であることが多い。逆につまらない映画は、現実から離れられない。途中で空腹が気になったり、映画が終わってすぐに携帯を開いてしまったりする。『Dr.パルナサスの鏡』はただの傑作でなく、現実が嫌になるほどの傑作だった。

本作は監督テリー・ギリアムの頭の中を垣間見るようだった。鏡の中の世界、2007年のロンドンの風景、そして造形などなど、隅から隅までテリー・ギリアムの想像力を具現化したものであった。こんな想像力の世界で生きられることは素敵だろ?と語りかけてきたように感じた。

現実にはどうしても限界がある。どこまでも歩いていかなければいけないし、人として普通に暮らさなければならない。そんな限界のある現実で暮らしていると脳は死んでしまい、想像力を失ってしまう。我々の脳には無限の想像力があるはずなのだ。誰だって子供の頃に教室の片隅で空を飛ぶ想像をしたはずなのだ。しかし大人になるにつれ現実に雁字搦めになりいつしか簡単に空を飛べなくなった。『Dr.パルナサスの鏡』は現実に束縛された脳をかき回し、刺激し、活性化させてくれる映画であった。遠くに行くために空まで届くでっかい竹馬に乗ることだって、雲の上を歩くことだって、想像の中ではできるのだ。そんな空想は素敵じゃないか。

エンドロール後のテリー・ギリアム監督のちょっとした仕掛けは現実が観客を呼び戻す音のようであった。

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