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僕はDay Dream Believer

モロモロの日々

『息もできない』


また韓国からドエライ映画がやってきました。しかも本作の監督ヤン・イクチュンは監督デビュー作にして製作・脚本・編集・主演も同時にこなしています。しかも途中、制作資金が底をつき家を売り払うという根性。本当に寝床に困っても完成させる価値のある素晴らしい作品でした!この映画、大好き!!

映画の作りは人物設定をベースに話を展開させていく印象を受けました。チンピラ(借金取立て屋)のサンフンは過去父親に母と妹を殺されたトラウマを抱えており愛を知りません。女子高生ヨニはベトナム戦争帰りのボケた父親とボンクラの弟のために日々家事をしており、こちらも過去に母親を亡くしています。つまり「家族」という逃れられないしがらみで生きてきた二人なのです、この自分の居場所のない二人が出会い、徐々に心通わせていきながら新しい居場所を作っていく姿に感動しました。しかし心通わせていくといっても二人は名前以外のことは何も知りません。同じ悲しみを持っていることで共鳴したのだと思います。特に漢江のお互いに強がり何も無かったかのように振る舞い泣くシーンは本当に良い!しかし物語はパク・チャヌクの映画のように悪い方へと転がっていきます。ラストになっていくにつれてえげつないです。本当にこれから!これからやっと!というときに悲劇が起きます。ひでぇよ。

この映画で印象に残ったのは「暴力を振るう側の痛み」です。チンピラのサンフンは父親・後輩・責務者などを殴るのですが、その殴る意味合いがそれぞれ違っていました。そもそも彼は親の愛を知らずに育ったため、まともな言葉を持っておらず、自分の伝えたいことは罵倒する言葉や暴力にのせます。劇中連呼される「シーバルロマ」(クソ野郎)は真似せずにはいられなくなること間違いなしでしょう。また殴る人と殴られる人を同時に映すことがなく、片方ずつアップで映していました。これによりサンフンの暴力や叫びが悲しく見えるのにグッときてしまいました。