僕はDay Dream Believer

モロモロの日々

『第9地区』

とりあえず観ていない人は観てください!なるべくこの映画に関する情報を入れずに観た方が絶対に面白いです!!

今回はホントに観ていない人は先を読まないでください!
じゃあ観た人はスクロールをば・・・。



物語の作りが絶妙に巧い。
物語はあるテーマを語るために、いかにどう語るか、そのバランスが重要である。『第9地区』はこれまでに何度も描かれてきた「差別意識」についての映画であると言える。差別意識の映画になると「差別いくない!!」と叫びそうなものであるが、『第9地区』は決してそんな陳腐なことはしていない。

1982年南アフリカ共和国上空に突如宇宙船が現れた。宇宙船の中には衰弱しきったエイリアンが搭乗しており、処遇が決まるまでの間、ヨハネスブルグにある第9地区仮設住宅に住まわされることになった。それから何の対処もないまま月日は流れ、第9地区はスラムと化した。近隣住民は不衛生で得体の知れないエイリアン(甲殻類に似ていることから「エビ」との敬称で呼ばれる)を嫌い、対立が激化していった。それを見かねたエイリアン管理事業MNUはエイリアンを郊外にある第10地区に移動させる計画を立てた。

前半はMNUの現場責任者であるヴィカス・ファン・デ・メルヴェ(シャルト・コプリー)の現場で働くドキュメンタリー、つまりフェイクドキュメンタリーで話が進む。エイリアンのあのヴィジュアルが本当に良かったと思う。途中でヴィカスがエイリアンの卵を(劇場がざわつくほどのえげつない)冗談交じりに燃やす。でも観客はエイリアンがホントーに不衛生で得体が知れず愛着も全然わかないので、まぁそんなことされてもしょうがねぇよなーと思いながら観る。しかしさらに映画が進むにつれ、今度はエイリアンの視点になり、ある親子が出てくる。これで知らないうちに得体の知れないエイリアンのことを差別してしまっている自分にハッと気がつく。得体が知れないのではなく、エイリアンの事を知ろうとしていなかったのである。「差別いくない!!」というのではなく、観客に差別意識を体感させる。この作りは本当に巧い。

そして『アバター』よりも宇宙人になってしまうという点がリアルに描けていた。青い人イェーイ!じゃねぇよな。そりゃ誰だって宇宙人になるつったら、何振り構わず戻ろうとするに決まっている。ヴィカスは自分の為にしか動かないという所が本当にクズであった。だがその分初めてヴィカスが利他的になったとき涙が止まらなかった。あの軍隊と戦うシーンは泣かずしてはいられないよっ!!

大・傑・作!!猫缶!!猫缶!!