僕はDay Dream Believer

モロモロの日々

『告白』

嫌われ松子の一生』や『パコと魔法の絵本』の中島哲也監督の最新作『告白』を観てきました!

中島哲也監督は暗い話と相性が良い。スローモーションやCG等を駆使しポップな映像体験を我々にさせる。『嫌われ松子の一生』では松子の転落人生をミュージカルなどを交えポップかつファンタジーに描いていた。いわば暗いものを明るく語る逆ベクトルのアプローチがこちらをワクワクさせる。そうゆう意味で弱点は同じベクトルであると言える。『パコと魔法の絵本』は元がファンタジーの話であるからファンタジー×ファンタジーで、もうなんだかお腹一杯だよという感じであった。次回作は暗い話が良いなぁと思っていた矢先の『告白』である。

いやぁー陰惨であった。娘を生徒に殺された女教師の復讐の話である。母親の無償の愛(『母なる証明』)や復讐(パク・チャヌク)というテーマは韓国暴力映画と通ずるものがあり、景気良く血が飛び散り人が死に「日本でもこんな陰惨で素敵なものができるんじゃん!」と観ていて途中嬉しくもあった。

映画においてモノローグやナレーションというのは嫌われがちであるしあんまり私も好きではない。ナレーション入れるくらいならちゃんとそれを描いてくれよ!!と思うし物語にイマイチ入り込めない原因であったりもすると思う。しかしこの映画は独白、登場人物の『告白』のみで形成されており、映像はそれを補完するためのものであった。しかしこの告白こそがこの映画を面白くしているカラクリであった。そもそも告白というのは、一個人による他人を排除した一方的な喋りである。その告白・独白は自分の良いように美化することができる。だが真実味はないし、コミュニケーションはない。幾人かの登場人物の独白は誰もがコミュニケーション不足であり他人を理解しようともしていなかった。その理解できない・予測できない小さなズレが事件を起こしたのだ。予測できない小さなズレは登場人物の独白を重ねるごとに段々と多くなっていき悪いほうへと転がっていく。

この告白なのですが、本当に何も関係のないクラスメイトのがあっても良かったんじゃないかと思いました。告白をしていないクラスメイトがやや記号的であったのが残念であったし、せっかく一人一人の心情を丁寧に描いていたのに、他のクラスメイトがやや書割過ぎて、一連の騒動に巻き込まれている中心である彼らの心情の変化だけ何もわかりませんでした。イジメしてた奴とかの告白があれば良かったのかなぁ・・・。

松たか子はハマリ役だった。数年前に舞台で観たのだが、そのときも15分くらいの独白のシーンがあり、なんだか妙に気持ち悪かった。そのときの気持ち悪さがスクリーンに出ていたし、なによりも顔こえぇよ!!松たか子力がギラギラとしていました。それに対して残念なところなのですが、松たか子と対決する中学生の子がイマイチだったかなぁ。うーん・・・。そんな感じでした!!

面白かったです!!陰惨最高!!