僕はDay Dream Believer

モロモロの日々

『カラフル』

『カラフル』鑑賞。

天上界と下界の狭間で漂う魂である“ぼく”が自殺してしまった「小林真」の身体に入り込み自分の犯した罪を思い出すために再挑戦する映画。

“ぼく”が一体何者であるか。この問題は誰でも割とすぐに気付くと思います。この映画で描かれているのは“ぼく”が小林真を通してありふれた日常から何を見つけられるかということだと思います。本編も日常を描くことに徹底しているようで、歩くようなゆっくりとしたペースで語られるのが印象的であり、またドラマティックなことが何も起こらないというのが良かったです。何も起こらないと言っても、実はありふれた日常の中に既にそれは起こっていて、それに気付けるのかということだと思います。だからこそコンビニで食べた肉まんとチキンがあんなにも感動的で、母親が一人で泣く晩ご飯が異常に見えたのだろうなと思いました。

人の目と言うのは普通に過ごしている内はその人の一面しか見えない。家族、同級生、先生など他人の目から見て小林真がどういった人物だったのかと予想していくうちに人の目の数だけ小林真がいて、主人公は困惑します。家族に対する接し方、好きな子に対する接し方などそれぞれが違っています。また主人公や小林真も家族の一つの側面しか見ておらず、母親が不倫をしているのを知ると母親に冷たく当たり手料理も食べなくなり母親の存在すべてが気持ち悪くなってしまいます。しかし再挑戦しているうちに仲良くなろうとした好きな子の理解できない面や、理解をしようとしなかった子の自分への理解があることを知ります。人間は一色だけを持っているのではなく、人には知られたくない面や理解の及ばない面も持ち、その多くの色が複雑に絡み合い一人の人間を形成している。そこがカラフルなのだとしみじみ思いました。

十人多色!面白かったです。