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僕はDay Dream Believer

モロモロの日々

物語の力-『河童のクゥと夏休み』

2011年公開の新作映画ではありませんがこのタイミングでなぜか『河童のクゥと夏休み』を映画館で観てきました!現在新宿シネマートでは原恵一映画祭が開催されており、原恵一が監督した映画版クレヨンしんちゃんの「オトナ帝国」(超名作!)と「アッパレ!戦国大合戦」(未見!)や昨年公開された『カラフル』と、そして今回僕が観た『河童のクゥと夏休み』の4本をやっています。しかも先着特典もあり僕は『カラフル』のプラプラが描かれている原恵一監督のサインを頂きました!原恵一監督の作品は本当にハズレがないので気になっている方は是非劇場で!!もしくはDVDで!!

東久留米市に住む普通の小学生・上原康一は、ある日の下校途中のふざけあいの最中にはずみで川辺に靴を落としてしまった。自身の靴を取ろうとした際に、康一は川の辺に埋もれていたとある大きな石に繰り返し躓いてしまう。ふとした拍子にその石を割ってみると中から出てきたのは、河童の子供であった。現代社会に蘇った河童の子供「クゥ」と、少年・康一との友情、そしてそれを取り巻く人間模様を描く。環境問題、いじめ、マスコミの報道過熱など日本の社会問題を風刺している。

原監督はありふれた日常の中にある“幸せ”を多く描いており、オトナ帝国ではヒロシの靴のニオイに家族愛を込め、『カラフル』では自ら失ったつまらない日常の中にあった幸福を主人公に再確認させた。『河童のクゥと夏休み』はもう康一の夏休みが最高に素敵に見えてしょうがなかったよ!もう何か康一がチャリンコで田舎を走っている画だけで号泣でしたよ!!それと原監督の作品は登場人物のふとした時の表情や言動が印象的です。息子・康一が初めて一人で旅行に行った後でなぜか泣いてしまう母親。マスコミの河童報道によって生活が苦しくなったときに見せた父親のクゥに対する表情。そういった予想もしなかったときに見せる登場人物の人間臭さにハッとさせられてしまいました。

主人公の年頃の子は好きな子に意地悪をしたり羨ましい相手に暴言を吐いたりとどうしても自分の感情とは違った態度になってしまうのだが、河童と友情を育んでいくうちに成長して行く主人公を見て真っ直ぐ強く生きることの素晴らしさを感じました。また子どものうちのそういった曲がった態度は大人になると欲というものが足され、河童を報道して金や視聴率を得たいというマスコミの報道問題が印象に残りました。人間って本当に下世話ね!俺もう犬かカッパになりてぇよ!!犬に関してはベストオブ犬!!あの犬たまんないね!!主人公の家族がなぜ河童のクゥを助けたかと言うと父の「弱っているんだから助けてあげようよ」に集約されると思う。これは当たり前のことなのだが我々は逆に弱っているものに対して攻撃しまいがちだと考えさせられた。例えば現実世界で言うと東電への暴言であったりすると思う。当たり前だけど忘れてしまいがちな大事なことを確認させてくれる素晴らしい作品でした。

僕は物語を観ていて面白くないと思うときの要素一つに簡単に綺麗事を言ってしまう登場人物というのがあります。例えば物語で主人公がどん底に落とされたときに“愛”や“絆”や“勇気”などを簡単に言って復活してしまうのが嫌いです。簡単にそういったものを口にするのではなくてどん底にいる状態で一体どんなときに“愛”や“絆”や“勇気”を主人公が感じたのか、または我々に感じさせることができるのかというのが物語の力だと僕は思います。そして映画を観た後に今までと世界が変わって見えたらたった2時間で自分が成長したってことなんです。すごく素敵じゃないですか!!フガフガ(かなり興奮)!!だから『河童のクゥと夏休み』は“思いやり”とか“親切”とか言葉だけにすると綺麗事で片付けられてしまうことをきちんと物語の中に取り入れて鑑賞者に体感させている作り方が凄いと思いました。