僕はDay Dream Believer

モロモロの日々

童貞テコンドーVSスピーシーズ-『エイリアン・ビキニの侵略』

久々のブログ更新で急ですが、2011年はエイリアンブームなんですよ。今年日本で公開されたもので思いつくだけでも『SUPER8/スーパー8』『世界侵略:ロサンゼルス決戦』『スカイライン』『カウボーイ&エイリアン』とこんなにも地球は侵略されています。やばいよ、地球!侵略ではないんですが、12月には『ポール』もありますしね。しかし今回はそんな大作ではなく韓国のインディーズ映画『エイリアン・ビキニの侵略』です。

テコンドーの腕前を生かし、街の治安を守る男・ヨンゴン。ある日、4人の男に暴行を受けている女性を助け、自宅へと連れ帰った。彼女の名はハ・モニカ。ぎこちない会話やゲームを通して、二人の距離は徐々に近づいていく。すると、モニカは自ら服を脱ぎ捨て、ビキニ姿に!必死に欲情を抑えるヨンゴン。彼は純潔の誓いを立て、30過ぎても童貞を守っていたのだ。が、次の瞬間、モニカの背骨が飛び出し、ヨンゴンを縛り上げた!なんと、彼女は純潔の精子を求めるエイリアンだったのだ!!おりしも、この日が生涯でたった一日受精できる日。しかし、彼女が子供を産むと、地球が滅ぶ!?さらなる作戦を試みるモニカ。果たして、ヨンゴンはその誘惑に耐えられるのか・・・。(チラシより抜粋)

僕はたまたま昨年池袋で公開されていたオ・ヨンドウ監督が参加しているゾンビオムニバス映画『隣りのゾンビ』を観ていたのですが、そのオムニバスの1話目と2話目をオ・ヨンドウ監督が演出していると知って妙に納得していしまいました。1話目は引きこもりのフィギュアマニア(ヨンゴン役のホン・ヨングン)がフィギュア制作中に指を切ってしまってゾンビに・・・という内容なのですが、直接的にゾンビは登場しません。2話目はゾンビの彼氏と人間のままの彼女(モニカ役のハ・ウンジョン)の愛の話で、こちらは1話目とは違い彼氏がゾンビとして登場するのですが、人間としての意識はまだなんとか保てているというゾンビ史上稀なケースのゾンビでした。そんなわけで1話目と2話目はどこかクセのある作品だなという印象が残っていました。ちなみにこの『隣りのゾンビ』は他の話も面白く、ガスマスクとパーカーを着てマーシャルアーツを使いこなす「んなもんかっこいいに決まってじゃん!!」と思わず唸ってしまうキャラクターが登場する話もあって非常に愉快な映画なのでオススメです!!

主役の童貞テコンドーキャラがとても良かったです。黄色いスポーツカーを乗り回し黄色いウィンドブレーカーと付け髭で変装し自警活動をするという、明らかに『キック・アス』や『スーパー!』を意識した主人公ヨンゴンの冒頭のアクションシーンがとてもかっこよかった!テコンドーの達人ではあるのだけど、どこかやっぱり童貞っぽい頼りなさがにじみ出ているキャラクターバランスがとても上手かったです。やっぱり兵役があるから童貞といってもヘタに喧嘩売れねー!!気をつけろ、日本のヤンキー!!そしてエイリアン・ビキニことハ・モニカもエロさ満開で興奮しました。事前情報としてモニカがエイリアンであることは分かっているので、彼女が段階をきちんと踏んでヨンゴンを誘惑していくのがなんだか滑稽で面白かったです。そしてやっぱジェンガのシーンですな!!あれはもうたまらんですな!!もうこれ必見ですよ!ヨンゴンとモニカがちょっと仲良くなって部屋でジェンガをするんですが、こう段々距離がね、座る位置とかが、もうなんか憎いなー!!っていう感じです。俺もジェンガ持ってればなぁ!!でも呼ぶ女いねぇや!!

『エイリアン・ビキニの侵略』は絶妙なバランスで成り立っている映画だなと思いました。中盤ずっと部屋のシーンで変わり映えが無いのですが、明らかに観客を飽きさせないというためだけに色んな馬鹿馬鹿しいシーンを入れています。例えば漢方の効能が画面上に浮かび上がるところなんて“なんだ?”という感じなんですが、これって面白を確保するための工夫なんですよね。低予算でできる様々な工夫で映画を面白くしようとする姿勢が観ていて好きになってしまいました。「この音、客嫌がるだろーなー!」ってケラケラ笑いながら黒板のシーンを作る姿が目に浮かびました。まぁーあのシーン結構きつかったです!そもそも“美女がイケてない男をもてあそぶ”イメージが面白そうだからというのが今回の映画を作るきっかけであったと監督が言うように、全編監督の面白を詰め込んだ映画になっています。映画を観ていて自分が面白いという事に真っ向から立ち向かっている印象を受けるので、荒いし監督自身も難しいテーマも社会性もないって言っているのですが、十分面白いんですよ!気楽に観れる75分の面白映画って最高だなと感動しました。そんなわけで壮大なクライマックスの展開も普通なら「なんだこれ!」と思うのですが、絶妙なバランスで成り立ってしまった不思議な映画でした。傑作。

余談。『エイリアン・ビキニの侵略』を上映している渋谷シアターNでは、ただいまエミール・クストリッツァの『アンダーグラウンド』(DVD絶版!)を上映中で、こちらもとんでもない大傑作なので、お時間あれば是非!いや、ほんと是非!

隣りのゾンビ~The Neighbor Zombie~ [DVD]

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